製品概要
FLT-100 は、国産メーカー・右近工舎が開発した小型・シンプルな蛍光寿命測定装置です。既存の蛍光分光光度計(例 : 日立 F-7000 シリーズ)に簡単に装着でき、同一サンプルから静的な蛍光スペクトルと動的な蛍光寿命の両方を独立して高感度に測定できます。
単一光子計数方式を採用した明るい光学系により、微弱な蛍光も確実に寿命測定が行えます。さらに、エントリーモデルならではの手頃な価格とシンプルな操作性で、これまで蛍光寿命測定に踏み出せなかった研究者にも最適な一台です。
基礎研究から応用分野まで幅広く対応し、将来的なステップアップにもつながる研究の登竜門的存在としてご活用いただけます。
特長
1. レトロフィット対応 & スタンドアローン使用も可能
既設の蛍光分光光度計にレトロフィット(後付け)することで、従来の蛍光スペクトル測定に加えて寿命情報を取得できます。また、本体にはパルスレーザー、単一光子検出器、寿命計測モジュール、サンプルホルダを一体化しており、スタンドアローンの蛍光寿命測定装置としても使用可能です。
2. 「静的」と「動的」の両方を同一サンプルで測定
- 静的(ステディステート)測定:波長ごとの蛍光強度分布=蛍光スペクトル
分子がどのような色(波長)で光るかを示します。 - 動的(タイムリゾルブド)測定:時間ごとの蛍光減衰=蛍光寿命
分子が光ったあと、どのくらいの速さで消えていくかを示します。
両者は補完関係にあり、スペクトルだけでは分からない励起状態のダイナミクスや分子環境を寿命測定が明らかにします。
3. 蛍光寿命を知ることで分かること
- 分子周囲の環境変化(溶媒、pH、温度など)の影響
- 蛍光強度に依存しない分子固有の励起状態寿命
- エネルギー移動(FRET)、クエンチング過程などのダイナミクス解析
つまり、スペクトル測定に「時間軸の視点」を加えることで、光る仕組みや相互作用を
深く理解できます。
4. 独立した測定系で相互干渉なし
既存の蛍光分光光度計と組み合わせた場合、蛍光スペクトルと寿命測定は独立に動作し、お互いに影響を与えません。
5. 微弱蛍光にも対応
単一光子計数方式と効率的な光学系により、蛍光が弱い試料でも寿命測定が可能です。
6. コンパクトでシンプルな一体型システム
パルスレーザー光源、単一光子検出器、寿命計測モジュールを本体に統合。標準キュベットでの測定に対応し、外部光学系も固定構成で扱いやすく設計されています。
7. 普及機・登竜門的な蛍光寿命装置
- 小型・シンプル設計で操作性が高い
- 構成を絞ることで低価格を実現
- 拡張性は限定的ながら、蛍光寿命測定をこれから始める研究者・教育機関に最適
用途・アプリケーション
蛍光色素の基礎特性評価
- 有機色素、蛍光タンパク質、量子ドットなどの蛍光寿命・減衰挙動の解析
- 蛍光強度測定では得られない非放射過程や消光機構の評価
化学・生化学研究
- 溶液中での分子間相互作用(静的/動的消光)
- pH、イオン濃度、溶媒極性など環境応答性蛍光プローブの特性評価
- 分子会合や複合体形成の検出
生命科学・バイオイメージング関連
- GFPやmCherry など蛍光タンパク質の寿命測定
- FRET効率の評価によるタンパク質相互作用研究
- 細胞内センサー開発における寿命変化の指標化
新材料開発
- 有機EL発光材料、蛍光性ポリマーの寿命測定
- 光機能性分子・ナノ材料(カーボンドット、量子ドットなど)の評価
- 光励起下での安定性試験
環境・応用分析
- 水溶液中の汚染物質検出(蛍光寿命による識別)
- 蛍光タグを用いたバイオアッセイや診断薬評価
- 蛍光標識薬剤の動態研究
装置構成

LD 光源の発光パルスと蛍光の一光子パルスの時間間隔を繰り返し測定しそれを積算し、ヒストグラム、蛍光減衰カーブが形成されます。蛍光寿命は、測定カーブに指数関数をフィッティングして求められます。
装置部外観

測定プローブの構造

蛍光寿命ユニットとして
試料チャンバー(オプション)を付属して
専用機として使用できる



日立F7100試料室に設置
